暖簾に腕押しとはどういう意味でしょうか。
のれんは上部を固定して吊り下げられている一枚の布です。それを腕で押しても
自分がバランスを崩して、反対側に倒れるだけです。それと対照的に重い木の扉を腕で押すなら、扉は開きます。
つまり、力を加えても何も得ることが出来ない状況です。
たとえばある男性が意中の女性を振り向かせようとして、あの手この手を使うかもしれません。
女性が気に入りそうなプレゼントを用意したり、推しのアイドルに似せたりして振り向かせようとします。
優しい言葉をかけても、誉め言葉をかけても全く手ごたえがありません。
このような状況をのれんに腕押しと言います。
同様に生徒のやる気を起こさせようとして、先生がいろいろな手段でやる気を起こさせますが全く功を奏しません。
まさに暖簾に腕押ししている状態です。
この言い回しを使う場合、ガッカリしている気持ちが伴います。万策尽きてどうすればよいか困惑していることもあります。
時にはあきらめている心情が伴うこともあるでしょう。
洋風式のインテリアが主流になっているため、のれんを見かけることが少なくなった現代では、イメージしにくいかもしれません。
暖簾と相撲の関連性とは
様々な策を講じたにもかかわらず、望むような結果も変化も得られないことを別の言い方では暖簾と相撲と言います。
のれんと相撲を取るとどうなるでしょうか。相手にならないばかりか、自分が転んでしまいます。
無意味な努力をさして使われることもあります。では暖簾と相撲にはどのような関連性があるのでしょうか。
相撲を行う稽古場所や部屋と呼ばれる、お相撲さんが生活する場所はたいていが和風建築です。
そこにはのれんがあるに違いありません。相撲は歴史が古い日本のスポーツですから、しきたりや服装にも古来の伝統が受け継がれています。
日本家屋にのれんは不可欠なものでした。カーテンと似ているように見えますが、異なる点もたくさんあります。
単に日差しを遮ったり、部屋を暗くしたりするものではありません。間仕切りとしての役割を持っています。
ここから先はキッチンと廊下を隔てるという目印にもなります。別の目的は目隠しをすることです。
全てが見えるようでは、品がないを考えられているからです。薄い布でできているので
どれほどの存在意義や目的があるのかと疑問視されがちですが、そこには日本独特の奥ゆかしさや礼儀作法が関係しています。